昨日見たあのサイトが、なぜか頭から離れない。」

昨日見つけたプロフィール写真のサイト。

正直、最初は半信半疑だった。

「スマホでプロが撮る?」

「本当にそんなことできるの?」

でも、ビフォーアフターの写真だけは何度も見てしまった。

"なんか違う。"

派手に加工しているわけじゃない。

でも、写真全体の印象が全然違う。

「こういう写真なら、一回会ってみようかなって思うかも。」

そんなことを考えている自分がいた。


料金も見た。

通常価格 8,000円

現在リリース記念価格 6,000円

「6,000円か……。」

高いとも思わなかった。

でも、

安いとも思わなかった。

飲み会を二回我慢すれば出せる。

新しい服を一枚買うのをやめれば出せる。

でも、

"もし思っていた写真にならなかったら?"

そう考えると、

急に6,000円が大きく感じた。

私はスマホを閉じた。

「また今度でいいか。」

そう思って、その日はいつもの生活に戻った。


翌朝。

いつものように電車に乗る。

ぼんやり吊り広告を眺めていると、

結婚相談所の広告が目に入った。

昨日までなら気にも留めなかった広告。

でも今日は違う。

「あ……。」

昨日見たプロフィール写真が頭に浮かぶ。

「もし相談所に登録するなら、写真はあれくらいちゃんとした方がいいのかな。」

その瞬間、

昨日閉じたサイトを思い出した。


昼休み。

私は何気なくスマホを開き、

昨日の履歴からもう一度そのサイトを見た。

昨日は読まなかったページを開いてみる。

そこには、

写真館を40年続けてきたカメラマンが、

なぜこのサービスを始めたのかが書かれていた。

結婚式。

家族写真。

婚活プロフィール写真。

そして、

結婚式で再会したお客様。

私は少しだけ驚いた。

「この人、写真を売りたいんじゃないんだ。」

「この人は、出会いの入口を作りたいんだ。」

そう思った。


それでも、

私はまだ予約ボタンを押さなかった。

でも昨日とは違う。

昨日は

「そんなサービスがあるんだ。」

今日は

「この人なら、一度相談してみてもいいかもしれない。」

その違いは、

自分でも少し不思議だった。
昨日は「この人なら、出会いの入口を作ってくれるのかもしれない。」

そんなことを考えながらスマホを閉じた。

でも、まだ予約する勇気はない。

「もう少し誰かの話を聞いてみたい。」

そんな気持ちが心のどこかに残っていた。

翌日のお昼休み。

会社の休憩室で、お弁当を食べながら私は何気なく隣に座っていた同僚の美咲ちゃんに聞いてみた。

「ねぇ、美咲ちゃん。スマホでプロがリモート撮影してくれるサービスって知ってる?」

美咲ちゃんは箸を止めると、

「あっ、FILのこと?」

私は思わず顔を上げた。

「知ってるの?」

「知ってる知ってる!フォローしてるインスタグラマーさんが体験してたよ。」

「えっ、本当に?」

「ちょっと待って。」

そう言うと、美咲ちゃんは慣れた手つきでInstagramを開き、少しスクロールした。

「あった、これこれ。」

画面には笑顔の女性が写っていた。

"スマホでここまで撮れるなんて思わなかった。"

"最初は私も半信半疑。"

"カメラマンさんが画面越しに『もう少し肩の力を抜いてみましょう』って話しかけてくれて、気付いたら自然に笑っていました。"

"加工で別人にするんじゃなくて、『いつもの自分が一番素敵に見える一枚』を作ってくれました。"

そして最後に書かれていた一文で、私は指を止めた。

『写真を撮ってもらったというより、自分に少し自信を持たせてもらえた時間でした。』

私はその文章を何度も読み返した。

写真の感想よりも、

その人の気持ちが変わったことが伝わってきた。

美咲ちゃんが笑いながら言う。

「この人ね、マッチングアプリで会うのが怖かったらしいんだけど、この写真に変えてから『会ってみよう』って思えるようになったって書いてたよ。」

私はもう一度スマホの画面を見た。

昨日より少しだけ、予約ボタンとの距離が近づいた気がした。

でも、まだ押さない。

私は慎重な性格だから。

"もう少しだけ、このサービスのことを知ってから決めよう。"

そう思った。